どんなに高級なスピーカーを導入しても、ルームアコースティックがめちゃくちゃでは性能をフルに発揮することはできません。
しかしプロスタジオではない、ホームスタジオ(宅レコ)では、十分にルームアコースティックを調整するのは非常に困難で、壁、天井、家具などの物が、音を反射させたり吸収したりして、その部屋特有の音場の歪みを発生させてしまいます。
そこで登場するのが「ARC System 2」。付属のマイクで部屋の音響特性を測定し、音場補正をするプラグインです。
私は、前バージョンの「ARC system」をかれこれ3年使っていますが、効果は抜群!今では「ARC system」無しで音楽を聞くことは出来ない位重宝しています。
膨らんだ低音は落ち着き、澄み切った中音、伸びやかな高音、更に奥行きや、ステレオ感も非常に繊細で綺麗になり、音楽をより一層楽しめると思います。
さらに「ARC system2」では、ローエンドの解像度が4倍に!!中域、高域ではよりスムーズでナチュラルなサウンド。 新しいL/R補正機能で定位感や、左右対称感をさらに改善。
結論から書かせて頂きますが、「ARC System 2」は凄いです!前バージョンの「ARC system」で十分だと思っていましたが、ローエンドの解像度4倍は凄まじい!
L/R補正機能で、高音の位相の歪みが低減し、さらに伸びやか、更に「ARC system」よりもデジタル臭さが抜け、「ARC System 2」はアナログの温かみの様な豊かな音像を感じる事ができます。
さて、前置きは長くなりましたが、ここからがいよいよ導入レポートです。部屋の音響特性を測定し、音場補正をするプラグイン「ARC system2」。兎にも角にもまずは部屋の音響測定からです。
ソフトウエアの指示に従って、オーディオIN-OUTの設定、入力感度、リスニングポイント測定の流れで進んでいきます。
「ARC system2」のオフィシャルHPには"スムーズに行えば30分程度"と記載されていますが、全行程を終えるのに最初は1時間半は見といたほうがよいでしょう。
正直簡単な作業ではありませんし、測定に失敗した時の音場は酷いものです。(私は何度も失敗しています。)
測定作業には時間に余裕をもって、慎重に行う事が肝心です。
測定ポイントは上記の図の14ポイント。「ARC System 2」から測定ポイントは7箇所でも良くなったようですが、多くのポイントで測定して更に精度を高めましょう。
測定ポイントのコツは自分の肩幅プラス、前方にもう一肩幅位のスペースで測定すると丁度良いと思います。
慎重に定規やメジャーを使ってバミっていきます。ここが一番肝心な作業ポイントです。私はこの作業だけで30分位使ってるんじゃないかと(不器用?)
後は、バミった14箇所をソフトウエアの指示に従って順番に測定していきます。この作業も慎重にマイクを14箇所のポイントに合わせていきます。
ちなみにマイクの高さは自分の耳の位置。姿見を使いながら高さを合わせると良いでしょう。マイクスタンドが無い人はご購入を。(例えばコレとか)
測定を開始すると、テスト・トーンが再生されますので、各ポイント測定が終了するまで静かに待ちます。
測定中は、できるだけ音場に影響が出ないように、自分自身(座る椅子も)は部屋から出ましょう。
「部屋から出たらパソコン操作出来ないじゃん!」って突っ込まれそうですが、そこはパソコンをiPhone等で遠隔操作です。私はiPhoneアプリ「iTeleport: VNC & RDP」を使ってVNCで遠隔操作しています。
測定が完了したら、プロファイル名をつけて保存で測定作業は終了です。プロファイルはいくつでも作ることができるので、部屋の窓を開けた状態や、朝や夜の別々の時間帯、ボリュームの大小等の環境で測定し、プロファイルを作ることで、様々な環境の音場補正をすることも可能です。
後はDAWのマスタートラックに「ARC System 2」をインサートして、使用してください。音の変化にびっくりすると思います。どんなに駄目な耳の持ち主でも、この音の変化に驚愕するかと思いますよ!
ダンスミュージック系の音楽には"Full Range Bass Crrection"のスイッチをONにすれば美しいベースサウンドを聞くことができると思います。
※注意事項として、作曲した楽曲をオーディオに書き出す際に、「ARC system2」はOFFにしてください。そうしないと補正した状態の音で書き出されてしまい他の環境で聞けないオーディオデータになってしまいます。
気になる「ARC System 2」の価格ですが、楽天では製品版が34,980円、アップグレード版は17,580円などで販売されています。
Music
IK Multimedia、「ARC System2」導入レポート
私のホームスタジオでは欠かすことのできないIK Multimediaのプラグイン「ARC System」。なんと8月にバージョンアップしていたので、早速アップデートしました。(リリース情報に気づかず8月のセールを逃してちょっとガックリ)
Written by Kawatin(@Kawatin_jp)