このイベントには、NIKEからAppleに移ってきてApple Watchのフィットネスの開発に携わっているJay Blahnik氏が登壇し、林信行氏とのトークセッションとなっていて、主にJay Blahnik氏から林信行氏に質問をするという形で進んでいきました。
まず、Jay Blahnik氏からヘルス・フィットネスの進化について聞かれた林信行氏は、ヘルス・フィットネスでは今はエキサイティングな時代で、特に東京では2020年にオリンピック・パラリンピックが行われるということもあり、フィットネスに関心が高まり、いろいろなテクノロジーの研究が行われていると述べていました。
Jay Blahnik氏は、テクノロジーが入ってくることに怖がる人もいるが、私はこれから若い人を取り込むのに役に立つと思うが、それについてはどうですか?と聞かれた林氏は、若い人はSNSが重要な役割を占めていて、いつでもつながることができる。日本は高齢化してきているけど、そういった人たちが怖がらずに活用すれば、医療費なんかもさがるのではないかと話していました。
Jay Blahnik氏の「Apple Watch」を気に入ってくれているとうかがっているが、役に立っていることは何ですか?という質問に対して、林氏は最初の1ヶ月は、驚きの連続だったと話し、すぐバンドの取り換えができるとかはほんとうに驚きで、役に立ったことは、ANAを乗るときにPassbookを使うときで、通常は腕を返してしまうと画面が消えてしまうが、Passbookアプリでは表示されたままになるので、QRコードをしっかり使うことができたと述べています。
また、どの機能が気に入っているというより生活を変えてくれたと述べ、あまり「Apple Watch」は使っている感覚はないが、重要な通知だけ届くのでiPhoneを取り出す機会が減って、電車を乗っている時も景色を楽しめるようになり、ご飯を食べていてもテーブルにiPhoneを置くことなくFace to Faceで話すことができていると語っていました。
林氏は通知の断捨離が新たな趣味になってきたとも話していて、最初は便利だと思っていた通知もたくさん来るとうっとおしくなるので、通知を減らすようになったと述べ、簡単に通知のオン/オフをできるのがいいと述べ、人によって使い方が違っているとも語っていました。
ここで、林氏から逆にJay Blahnik氏に一番便利な機能は何ですか?と訊ねたところ、Jay Blahnik氏は今までの話は非常に同感で、世界中どこに行っても同じように人によってApple Watchの使い方が違っていると答えていて、よく聞く話は自分の適したように使うことで、自分の時間を取り戻すことができたという話で、テクノロジーを活用することでテクノロジーへの依存性を減らすことができているようだと話していました。
また、メンタルヘルスにとってもよく、夜になるとiPhoneをしまっておいて見たいものだけ見るようにしていて、私は負けん気が強いので夜9時にApple Watchのアクティビティのリングが完成してないと出かけてしまったりもすると述べていました。
もうひとつの事例として、Apple Campasでは多くの会議があり、会議というのは長時間になるがApple Watchを全員つけているので、みんな同じ時間に立ち上がって伸びをするといった文化ができているのは本当に素晴らしいことだと話していました。
他にも、Jay Blahnik氏はアクティブすぎることも、全く動かないことは同じぐらい良くないことだするリサーチがあることを紹介し、アスリートでも朝1時間走ったあと会社でずっと座っているという人が多く、アスリートはよく動いているように見えるが、スタンドのリングを完成することが難しいことだとわかってきているようです。
「Apple Watch」のアクティビティリングについて、このリングをチームとしてデザインしていた時に、定量的な計測をこえるものがほしいと考えたそうで、1日の動きの中でカロリーを消費したり、体の循環を改善する、1日で動くことが重要な事をMoveリングで表し、早歩きを超える強度の強い運動については別に分かるようにと考えて緑のリングが作られたと話していました。
ここでまた、Jay Blahnik氏から林氏に、Appleは将来について語らない企業だが、ヘルスとフィットネスの将来について、どのような進展をしていくと思いますか?と質問があり、第1はさきほど紹介したコネクティブデバイスで、2つめは医療関係など専門分野の人たちが活用していくことだと話していました。
Jay Blahnik氏は、昔は体温を測るときにも医者を呼ぶ必要があったが、それが変わったようにこれからも自分の責任でできることは増えてくるでしょうか?という質問に対して、林氏はヘルスケアに関する情報がプライバシーの確保された上で可視化されていると、スポーツ活動や医学データとの活用などにより健康の向上にも役立っていくのではないかという見通しを語っていました。
林氏から、ABC NEWSで取り上げられた「Health & Fitness Testing Lab」について聞かれたJay Blahnik氏は、「それは秘密だ」と笑いながら答えたものの、Appleが新しい分野に参入、成功を収めるために重要なこととして2つあるとして、1つめが「大きな好奇心」、2つめが「知らないことに謙虚になる事」だと話していました。
Apple Watchを作るにあたってどこかのアルゴリズムや他社を真似することは考えず、色々学ぶ必要があり、そこにしっかり投資をしてちゃんとこの分野を学ぶためにラボを作ったと明かしてくれました。
あのラボでは専門家がチームを作って研究していて、ボランティアであつまったAppleのスタッフが色々な計測器をつけながらトレーニングをしていたが、誰も「Apple Watch」のために行われていたことだ知らなかったそうです。
色々研究したが、わかったことはとてもシンプルで「人体はとても複雑だということ」で、どれだけセンサーを付けてもまだまだ学ぶことが多いと語っていました。
林氏が一番使っている機能として、「MacID for iOS and Apple Watch」を紹介していて、Apple WatchでMacのパスワードの解除ができるので、Appleが買収して次のOSにいれて欲しいと冗談交じりに語ったところ、Jay Blahnik氏も笑いながら「本社に持ち帰ります」と語っていました。
他にもスターウッドホテルの一部では「Apple Watch」でチェックインできる機能が便利という話もしていて、Jay Blahnik氏も「Apple Watch」だけでランニングに出かけて、「Apple Pay」で飲み物を変えた時は未来を感じたと話してました。
この後会場に来ていたお客さんとの質問を受け付けて、Apple Watchパーソナルなもので、ヘルスケアのことも大きく変えることができるのですが、コミニケーションも変えることもできるのではないか?との質問で、林氏は簡単に返信ができるようになりライトウェイトのコミュニケーションが成り立つのではないかという話をしていました。
Jay Blahnik氏は開発段階から2年間Apple Watchを使っていて、コミュニケーションとしてもつかっているが、ここまで遠くまで来たのは初めてで、手描きのスケッチやハートビートも送ってもらって、家族や友人とつながっていることを感じることができたと話していました。
また、次の質問でバージョンアップしてから、テニスをしている時がうまくアクティビティの計測できなくなったと質問され、Jay Blahnik氏は、最近のアップデートで確かにそういった現象があるのはわかっている。テニスなどのアクティビティでも計測できるようにバージョンアップで改善をしていきたいと語っていました。
イベント終了後は参加者全員と記念撮影を行ったり、Jay Blahnik氏と林氏が個別に質問に答えるなどしていました。かなり濃密な1時間で、色々なエピソードが飛び出していたのでかなり楽しかったですね。なかなかJay Blahnik氏のような人物が来日することもないので、貴重な時間になったと思います。