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ドコモが抱える、「iPhone」のジレンマ

日本経済新聞によると、ドコモ・KDDI・ソフトバンクの今期決算が「iPhone」とその他のスマートフォンの違いが改めて鮮明にさせるものだったとしていて、ドコモは「iPhone」のジレンマを抱えているとしています。

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ドコモは連結決算は増収増益だったが、ソフトバンクとの収益の差は縮まるばかりで、営業利益率ではソフトバンク(21%)がドコモ(20.6%)を2期連続で上回ったとしています。

今や音声通話収入の減少には歯止めがかからず、データ通信収入が各社の収益を左右するが、これもソフトバンクが57%で、ドコモ54%を上回っているとしています。

この比率の差は「iPhone」とその他のスマートフォンの違いによる所が大きいとしています。ドコモは前期に想像以上にスマートフォンを販売していたそうで、当初の計画を上方修正したうえに、最終的には882万台となり、前の期より630万台増えて、12年3月末の携帯電話契約件数は6012万件と1年前に比べ4%伸びたとしてます。一方、ソフトバンクは「iPhoen」の人気が高く、12年末の携帯電話契約件数を2894万件と1年前に比べ14%も増やした。

これはデータ通信収入(ARPU)にも現れていて、ドコモは12年3月期のデータARPUが前期比5%増の2670円に対して、ソフトバンクのデータARPUは9%増の2510円に達していて、ソフトバンクの孫正義社長は12年1〜3月期と限定したうえで、「データARPUの比率は世界一」と語っているとしています。

「iPhone」効果はKDDIの好調な決算からも実証されたとしていて、12年3月期のデータARPUを2490円と前期に比べて7%高め、同社の移動体通信事業は4期ぶりの増収となったとしています。

これらの状況から、市場関係社は「ドコモはiPhoneを導入するべき」と考えているそうです。試算では導入に踏み切れば13年3月期で営業利益を約700億円押し上げる効果があるという数字も出ています。

ただ、社内にも「iPhone」を導入を望む声があるが、決算発表での山田社長の「現状では導入はなかなか厳しい」との発言からも、現経営陣は慎重な姿勢だとしています。

揺れ動くドコモ社内を見つめる業界内には「iPhone導入の可能性は残っている」との見方が根強いとしています。6月に就任するドコモの新経営陣も「iPhone」を扱うかどうかのジレンマを抱えるだろうとしてます。

これらの数字からも分かるように「iPhone」が経営に与えるメリットは非常に大きいもののようです。ただ、独自サービスのこだわりやAppleの販売台数のコミットメントを考えると、なかなかドコモが「iPhone」導入に踏み切れないようです。

ドコモは6月から新経営陣が就任するそうですが、これらの数字から「iPhone」を導入するかどうかという事は課題として残っていきそうです。導入を決断出来れば英断となりそうですが、その決断を下すのは今までの流れからも相当難しそうですね。